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2012年1月

2012年1月20日 (金)

ベルギーのジャパンエキスポの将棋ブース出展者のインタビュー映像の日本語訳(2)

 

一つ前の記事に続いて、もうひとつのベルギーのジャパンエキスポの会場で行われた、将棋のブースの出展者へのインタビューの内容の日本語訳をお伝えします。(翻訳、会員の篠原学さん、協力、ジャック・ピノー理事)


YouTube: Interview du Shogi Belgique

インタヴュアー(以下I)
さて、こちらです。まだまだ、ジャパン・エキスポの会場にいますよ。隣にいらっしゃるのは将棋のマスター、先生でして、将棋というのがどういうものか、これから説明してくださることになっています。では、自己紹介をお願いします。

アスチール(Hastir)さん(以下H)
はい。こんにちは、ジャン=フランソワ・アスチールです。年は21歳、ULB、ブリュッセル自由大学(Universit? Libre de Bruxelles)医学部の学生です。

I
将棋を始められて、もう長いんですか。

H
数年になりますね。18歳のときに始めて、さっきも言いましたが今21歳ですから、約3年ですか。マスター……いや、「先生」だなんて、とてもとても。でもみんなは、そうだな、僕はよくやってるほうだって、言ってくれるんじゃないかな。

I
いや、それはそうですよ。今日だってこのジャパン・エキスポで、将棋を知りたいという人のために授業をなさっているんですから。だから、もしよかったら、このゲームのことを少しお話しいただけませんか。将棋がどこから我々のもとへやって来たのか、およそどういうものか、そういったことについてですね。ほら、音声だけではわからないかもしれませんが、手元(駒台)にいろんな駒があるじゃないですか。将棋はこれも使って指すんでしょう?――まあそういうわけで、将棋がどこから来たのか、どういうものかを、ざっとご説明いただければと思ってるんです。

H
ざっと、ですね。どういうものか、という点について言えば、将棋というのは日本のチェスのことです。王様がいて、その他の駒、チェスとちょっと違った駒もあれば、同じ駒もあります。ゲームの目的はヨーロッパのチェスとまったく同じで、要するに王様をつかまえること、チェックメイトの状態にすることです。次に、どこから来たのか、という点についてですが、他のすべてのチェスと同じく、インドからもたらされました。インドにチャトランガというゲームがまずあって、そこから広がっていったんですね。ヨーロッパに来たものは我々のチェスになりましたし、アジアでもさまざまなヴァリエーションが生まれました。中国のもの、韓国のもの、それから今日ある日本の将棋ですね。大まかに言って、将棋は我々の知っているチェスとはちょっと違います。というのも、将棋にはいろいろなルールがあって、たとえば取った敵の駒を再利用できたりもするんですね。それによってゲームはきわめて複雑になるので、ヨーロッパのチェスに慣れている人には手を付けにくいということも、往々にしてあるかと思います。

I
なるほど。じっさい、それなりに楽しめるというか、熱中できるレベルに達するのに、どれくらい時間がかかるものなんでしょう。あなたの場合はどうでしたか。

H
だいたい、5局くらいですね。

I
なんだ(笑)わりと簡単じゃありませんか。

H
いや、つまり、難易度ではなく意志の問題なんですよ。将棋を指したい人、その気持ちがある人、面白いと思っている人は、すぐに……漢字も覚えて、すぐに将棋を指せるようになるだろうし、指していて楽しいと思いますよ。初心者であってもね。もちろん簡単ではないし、どう指せばいいのかよくわからない、ということはあるでしょうが、そこまで来れば、あとはとにかくやってみて、楽しめるようになるものです。僕らもそんな感じですよ。ベルギーにはいくつものクラブがあって、今日はその全部が集まっています。リエージュのクラブでしょう。それから、僕自身がいわば共同代表を務めているブリュッセルのクラブ。ゲントにもクラブがあります。だからこの将棋スタンドには、国内の3地域が集まっているんです。みんなここにいるし、こんなに良い雰囲気ですから、たとえ「大先生」がいなくても楽しめるし、それで何の問題もありません。

I
お伺いしたいのは、ベルギーで将棋を指す相手を見つけるのは大変なんじゃないか、ということです。仰るようにいくつかのクラブはあるにしても、将棋を習ってみたい、知りたいという人があなた方に会うためのネット上のウェブサイトなり、そういった場はあるんでしょうか。フェイスブックやそれに類するものはお持ちですか。

H
ええ、じっさい、指すための場所を見つけるのは……いや、相手を見つけることさえ、なかなか大変です。というのも、ここでは将棋はとくに、人々が関心を持っているゲームじゃありませんからね。第一、多くの人が、そういうものがある、ということさえ知りません。ときには外観にやる気をなくしてしまう人もいます。駒は見るからに日本的だし、ヨーロッパナイズされたものは何もありませんからね。漢字も、初めての人には取っつきにくいでしょう。これが第一の点で、じっさい、容易ならざる問題です。でもそこは、ネット上のウェブサイトがあります。日本人の手になる、非常によく出来た対局用のサイトもあるんですよ。「81道場」といって、URLは81dojo.com。日本人も大勢いますが、ヨーロッパ人やアメリカ人など、世界中のプレイヤーが利用していて、将棋は指せるし、他のプレイヤーと出会うこともできます。そこも、なかなか良い雰囲気です。加えて、クラブもいくつかある。リエージュのクラブは数年前からあって、大勢の会員がいます。ブリュッセルにある僕たちのクラブは数カ月前に発進したばかりで、まだまだ未発展です。ゲントのクラブもまだ新しい。それでも、連盟の創設に着手できるんじゃないか、という希望はあります。じき人も増えて、連盟も作れるようになるでしょう。そのためには、まずプレイヤーが必要ですから、どこにいるか調べないとね。こういった日本に関する大会は、将棋に関心をもっている人材を探し出す絶好の漁場ですよ、間違いなく。

I
では、締め括るにあたって、あなたのお気に入りの戦法について、どんなものかイメージできるよう説明していただけませんか?

H
うーん、僕の好きな戦法は、これは知らない人には難しい話でしょうけど、どちらかというと序盤になるんですが、僕は激しい序盤が好きなんです。まず飛車を使います。これはチェスのルークと同じ動きをするんですが、この飛車を陣地の中央に構えて、そこから攻撃する。わりと好戦的で、非常にダイナミックなんですが、このスタイルが気に入っていますね。

I
どうも、本当にありがとうございました。あなた方とコンタクトのとれる、フェイスブックなり何なりのアドレスがあれば、皆さん、あなたに連絡できるんじゃないでしょうか。あなたのファンになった方もいらっしゃるかもしれませんから、思いの丈を語っていただければ。

H
そうですね、僕たちに連絡される場合は、「将棋ベルギー」のフォーラムへ行ってみてください。そこで登録をして、連絡先を教えていただくことになります。僕らはフェイスブックも活用しています。そちらはつねに「パスレル・ジャポン」の下にありますが、やはり「将棋ベルギー」という名前になっています。フェイスブックにはブリュッセル将棋クラブのページもあって、「ロワイヤル将棋道場」というのがそうです。この3つのページがあって、そこへ行って登録したり、僕たちに質問したりできるようになっています。集会の日時や場所も掲示しています。どなたでも歓迎します。やる気のある方、社交的な方はぜひ。

I
いや、すばらしいじゃありませんか。このインタヴューの配信時には、もろもろの情報やリンクも掲載しますので。本当にどうもありがとうございました。さて皆さん、将棋は手に汗握るゲームですが、そこまで難しいわけでもありません。どうぞ見にいらして、ぜひ習っていってください!

インタビューで言及されているベルギーの将棋フォーラムと、Facebook のベルギーの将棋グループへのリンクです(Facebookのほうは見るのに Facebook のユーザーになっていることが必要です)。

* ベルギー将棋フォーラム
* Facebook のベルギー将棋グループ

2012年1月18日 (水)

ベルギーのジャパンエキスポの将棋ブース出展者のインタビュー映像の日本語訳(1)

 昨年の11月、ベルギーで初めて「ジャパンエキスポ」が行われました。「ジャパンエキスポ」はフランスで1999年(2000年説もあります)から始まったもので、マンガ・アニメにとどまらず、日本文化全般が紹介される草の根のイベントで、昨年からフランス語圏でもあるベルギーに波及して第1回が行われたものです。そこで将棋のブースを出展していた方へのインタビュー映像が2本 YouTube にアップロードされました。その内容を日本語訳にしてお伝えします。本日は一本目で、BelgoOtakuTV の女性の方がインタビューをしています。(日本語訳は当会会員の篠原学さんによるもの)。将棋だけでなく、どうぶつしょうぎも展示をしていたことがうかがえます。(ビデオの前半は囲碁ブースの出展者へのインタビュー。将棋の部分は2:50から始まり、3分のインタビューとなっています。)

  • [Japan Expo Belgium 2011] Interviews Passerelle Japon(Shogi) - Fédération Belge du jeu de Go


YouTube: [Japan Expo Belgium 2011] Interviews Passerelle Japon(Shogi) - Fédération Belge du jeu de Go

F(女性)
こんにちは、ヴァンサン。「ベルゴタクBelgotaku」のインタヴューです。この「パスレル・ジャポン(passerelleは「橋、かけはし」の意)」では、たとえば将棋がそうだと思うんですけど、(囲碁の)他にもいろいろな活動をされているんですって?

M(男性)
ええ、おっしゃる通りで、まず料理教室、それから日本語講座――これはまあ、リエージュ大学(ULG)の協力のもとでやっていますけど。生け花はまだ始まったばかりで、宣伝はしてるんですが、もうちょっとお客さんに来ていただかないとね。……そうだな、(うしろのポスターを見ながら)他には何があるんだったかな。(インタヴュアーの女性に向き直って)ええと……

F
うしろを見ながらで構いませんよ。

M
どうも。(ポスターを見ながら)美術史の専門家と一緒に、遠足に行ったりもしますね。要するにいろんなところを見て回るわけですが、なかなかいいもんですよ。それから……

F
いろんな活動をされているんですね。どちらで行われているんですか? たとえば、活動にあわせてホールを使われたりとか?

M
ええ、リエージュには私たちのホールもあるんです。ソーシー(Saucy)大通りなんだけど、知ってます?(女性、いいえ、と首を振る)うん、まあそこにあるんですよ。

F
なるほど。こちらのブースでは、将棋を主にやってらっしゃるんですね。将棋を覚えるのはたいへんだって聞きますけど、本当にそうなんですか。

M
たしかに簡単ではありませんね。だから向こうにどうぶつしょうぎも置いてあるんです。どうぶつしょうぎというのは小さい子どものための将棋でして、あれはうちで作ってきました。

F
かわいいですね!

M
でしょう? たしか、北尾まどかさんが考案されたんじゃなかったかな。おそらく。

F
じゃあ、将棋のルールを、少し教えていただけませんか?

M
はい。ええと、どうしましょうか……

F
将棋というのがどんなゲームなのか、このインタヴューをご覧になっている皆さんにわかるように、ごく手短にお話しいただければと思います。

M
わかりました。大雑把に言えば、将棋は日本のチェスといったところですが、ただし将棋ではこちらが取った敵の駒を使うことができるんですね。これを「打つ」(parachuter:投下する)と言います。それぞれの駒……というか、多くの駒には裏と表、両方の面があって、それで「成る」ことができる。ほら、『ドラゴンボール』に「スーパーサイヤ人」ってのがいたでしょう。あんなふうに強くなれるってわけです。大雑把に言えばね。まあ……ざっとこんなところでしょうか。それでも最初のうちは簡単じゃないと思いますね。漢字を見て尻込みしてしまう、ということだってあるかもしれません。でも、一度駒の動きを覚えてしまえば、大丈夫です。

F
そうは言っても、敵と味方の駒が区別できるようには見えませんね。

M
そんなことはありません。というのもね、将棋の駒にはじっさい(チェスと違って)一色しかありませんけど、取った駒を「打つ」ときには反対の向きに置けばいいんです。駒の形で区別できます。(女性、頷く)まあ、それぞれの駒の大きさも、漢字も違うわけですが。

F
それじゃあ、こちらのブースでは、将棋の簡単な手ほどきをしていただける、というわけですか。基本的なルールとか、その他もろもろの。それですぐに将棋が指せるようになるものなんでしょうか。

M
ええ、そう思いますよ。まあ、教えないといけないことはいろいろあると思いますし、それだって、そう簡単じゃありません。チェスができる人ならいいでしょう。でも、チェスを指したことがなかったら……こっちが1マス動かしてくれと言っても、2マス動かしたりしてね。

F
私たちのお友達のヴァンサン、あっちの囲碁のブースにいますけど、彼は囲碁のほうが将棋より上だって言ってましたよ。あなたはどう答えますか。

M
将棋と囲碁は違うゲームですよ。「上だ」というのもどういうことなのか、一概には言えないでしょう。まあ、ヴァンサンってのはいい名前です。(女性、笑う)囲碁は覚えるのはやさしいけど、局面の可能性は膨大です。それこそ将棋よりずっと。もちろん将棋だって「閉じた」ゲームじゃありませんけど。チェスはどちらかと言えば「閉じて」いますね。

F
そうね。見たところ、あなた自身も、もうひとりのヴァンサンより「開放的」だと思います(笑)インタヴューに応じてくださって、どうもありがとうございました。今日はあなたもぜひ楽しんでいってください。それじゃあ、また。

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