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「かけはし」50号記念企画I インタビュー 中原誠十六世名人(50号、2010年10月9日発行)

 本会の機関紙、『かけはし』の発行も回を重ね、50号という大きな節目に到達いたしました。一重に、これまで編集に関わられて来た多くの方々、並びに、関係各位の努力の賜物と深く感謝いたしております。

 今回は、棋界の太陽として若き日に華々しく登場し、まさに一時代を築き上げられた大名人、
中原誠十六世名人にご登場を願いました。ご自宅にお伺いし、インタビューさせて頂いたものです。(編集部 松岡信行

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祝辞にかえて(50号、2010年10月9日発行)

 将棋を世界に広める会が今年で15年になるという。長い間、普及活動ご苦労さまでした。と言うよりも有難うございました。

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 眞田尚裕さんにお会いしたのが12年前。NPO法人を立ち上げたいと相談されたのが初めです。やはり組織として動き、それを法人化し、認定してもらう手順 はいろいろ苦労が多いとお聞きしました。それを乗り越え、多くの同志と海外に出掛けて行っての活動は、民間ならではの自由さがあって羨ましい限りでした。(日本将棋連盟会長 米長邦雄

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機関誌「かけはし」発行50号、並びに発足15周年を迎えるにあたって(50号、2010年10月9日発行)

 私どもの「将棋を世界に広める会」が活動を開始してから15年,NPO法人になってから10年経ちました。

15年前に、将棋を世界に広めようなどということは夢のような話でした。将棋は日本だけのもので、外国では、見たこともないし,従ってどんなものか知らない人がほとんどでした。
盤駒が手に入らない、現地の言葉で書いた将棋の本がない、指導する人がいない、というのが普及の三つの大きなネックでした。英語で書いた将棋の本が、丸善へ行っても3冊しかなかったのです。

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又、将棋好きの人が世界のどこにいるのかもはっきりはわかりませんし、どれだけの国に広めればよいかも、判りませんでした。

 世界にはチェスを始めとして中国象棋、その他将棋と類似のゲームが既にあります。それらに比べて、将棋がはるかに面白いか、少なくとも同じぐらいに面白い、と認められなければ、一生懸命に広めようとしても、出来るとは思われません。

こんな状況の時にわれわれの会は発足しました。(ISPS理事長 眞田尚裕

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人物紹介コーナー(49号、2010年2月20日発行)

 今回は、Pineau Jacques-Marie (ピノー ジャック・マリー)氏を紹介します。と言いましてもピノー氏を知らないISPSの会員は、あまりいないのではないかと思います。本会発足以来、理事を務め られ、海外普及に大きく貢献されてきました。いつも近くにおられますが、実は、じっくりとピノー氏の想いを聞く機会はありませんでした。インタビューをし てみると、驚くことばかり。つくづくお聞きして良かったと思っています。(松岡信行

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特別企画 独占インタビュー 谷川浩司 九段 (永世名人)『将棋と人間』(48号、2009年11月22日発行)

 突然、京都在住の池谷孰理事から、「谷川先生のアポイントを取ることに成功した」との電話が入りました。思いもよらぬ朗報に、急遽、新幹線に飛び乗り将棋連盟関西総本部に向かったのです。着いた3階の応接室には、谷川浩司九段(十七世永世名人)のにこやかな笑顔が待っていてくれました。インタビュー内容を報告します。
 尚、掲載された全ての写真は、京都在住の大蔵康浩会員の撮影によるものです。(文責 編集部 松岡信行)

松岡 昨年、横浜で行われた京急の「将棋祭り」にお越しくださり、有難うございます。横浜に谷川先生が来られるというので、凄い熱気に包まれました。改めて先生のフアン層の厚さに驚いた次第です。

谷川 横浜は初めて伺ったものですから。

松岡 いえいえ、決してそれだけではないと思います。谷川先生と言えば、数々の伝説に包まれている程なのですから。先ずは、この辺りからお聞きして行きたいと思います。
     将棋をはじめられたきっかけが、『兄弟喧嘩』を無くす為に、お父様が薦められたと言うのは本当なのでしょうか。

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谷川 仲が悪かったからの事ではなくて、逆に仲が良すぎることから起ったことだと思います。4、5歳ぐらいのことですから、私もあまり記憶がないことです。ただ、父が将棋盤と駒を買ってきてくれたことは確かです。

松岡 先生は、将棋を百科事典で覚えられたと言うのは本当でしょうか。

谷川 父も昔に覚えたので、ルールなどに自信が持てなかったようです。将棋の歴史なども書かれていました。祖母に将棋を教えたくて持ち運んでいたようです。百科事典は今も手元にありますが、将棋の項目のページだけが汚れているのが分かります。

松岡 4、5歳の子供が、百科事典ですか。とても信じられないことですね。将棋の才能も順調に開花し、中学2年生でプロ棋士に。その頃の心境はどんなものだったのでしょうか。

谷川 まだ、プロとしての実感があったとは思えません。ただ、一生将棋を指していけるという喜びは心に残っています。1、2年して、プロの意味が分かってきました。

松岡 高校生になった頃ですか。

谷川 一つは、中学三年の時です。序盤で大きなミスをして、普通、夜中までかかる将棋が、持ち時間を残して4時ごろに終わってしまったのです。勝ち負けは別として、プロとなったからには、与えられた条件でベストを尽くさなければならないと自覚しました。もう一つは、高校一年の頃、C級2組の順位戦で、最初7連勝し、あと3局の内1勝すれば昇級できるというところで連敗したのです。最終局もかなり厳しい状況になったのですが、やっとの思いで、勝ち切ることができました。この二つのこと、プロの自覚と勝負の厳しさを体験することによって、本当の意味でプロ棋士になれたのかな、と思っています。

松岡 楽しいから指しているという世界から、責任ある世界へと踏み出したということでしょうか。

谷川 この二つのこと、殊に厳しい勝負は誰しも経験するのですが、早い時期に、一番良い時期に経験することができたのではないでしょうか。

松岡 21歳の名人誕生に結びついたと思われますか。

谷川 ええ、確かにそうも思いますが、普通、他のタイトルを先ず取り、それから名人になるのですが、私の場合は、最初のタイトルが名人であったわけです。中原先生の時代が長く続き、新たな息吹を求める、時代の波とか、勢い、に乗れた名人獲得でもありました。

松岡 「光速の寄せ」は、先生の代名詞でもあるように、新たな感覚が時代を突き破ったと思えるのですが。先生の、将棋に接する態度とはどのようなものなのでしょうか。

谷川 将棋をどのように見ているかで、感じ方が違って来ますよね。現在は、定跡なども整備されて、多くの道しるべなどができています。多くの研究がなされていますが、それが絶対だと思うと将棋が狭くなってしまいます。情報は取り入れて、よく調べておくけれども、実際の対局や局面を見るときには白紙の状態で見る事ができるかどうか。難しいことですが。

松岡 私は大学では生物学を学んだのですが、教授に言われた、『実験室の心得』と通じるものを感じますね。

谷川 七年前、河合隼雄先生と対談をする機会に恵まれました。その席上、棋士というのは、三つの顔が必要だと感じる、と話したことがあります。一つは研究者、一つは芸術家。もう一つは勝負師だと。大変に共感してくださいまして、心強く思っています。

松岡 普段、将棋に向かう態度でもあり、一局の将棋の態度でもあると言うことですか。

谷川 三つのことを自然に持っていて、自然に表現できるということが理想なのでしょう。ですが、対局に向かうときには、研究の途中でも結論は付けておかないと自信を持って対局に臨めないという面もありますし、芸術的な美しさを求めても、勝負としてはうまく行かないこともあります。何しろ将棋というのは、単純ではありませんから。

松岡 羽生先生が若い頃に谷川先生と対局して、こんなにも早く谷川先生が終盤を意識しているのか、と感じたそうです。

谷川 詰将棋も好きなものですから、終盤の入り口あたりから詰む形をイメージして、イメージを具体化するために局面を作っていく傾向はあります。それが、他の棋士より詰め形を考えることが早かったのかなという想いはあります。

松岡 谷川先生は、早くからISPSの会員になられ、常に暖かく活動を見守ってくださっています。理事長も深く感謝しているのですが、今までの活動状況をどのように受けとめられていますか。

谷川 発足14年ですね。先ずは長期に亘って活動されていることが素晴らしいと思います。海外に行く度に、将棋人口の厚みが増していることを感じています。昨年、天童で行われた国際将棋トーナメントで、ベラルーシの方が2位に入りました。ヨーロッパやアメリカの方が強いという印象があったので、意外に思えました。世界の将棋の層が厚くなって来ている証拠ですし、世界大会の結果などを見ると、参加者全体が大変に強くなって来ています。ISPSの成果が浸透してきていることを示すものだと思っています。

松岡 池谷さんがウクライナに行かれたときの報告の中に、ベラルーシ関連の話もあったと思いますが。

池谷 ウクライナのリフネに行った時に、ベラルーシからも参加されていました。ロシアのサンクトペテルブルグでは、学校で教えてもいますので、ロシア語圏でも層が厚くなって来ているかも知れません。

松岡 ここにロシア語で書かれた将棋の本があるのですが、前半部分は、谷川先生の「光速の終盤術」を訳したものだと聞いています。

谷川 昨年の天童でも、この本で勉強したという話を聞きました。私自身としても思い入れのある本です。様々に翻訳されているようで嬉しいことではあるのですが、もう、20年も前のものですので、その後、翻訳されたものが少ないのかなとの思いがあります。著作権の問題もあるかと思うのですが、柔軟な対応がなされるといいですね。梅田望夫先生の本などは、自由な翻訳を可能にしていますから。

松岡 すぐにプロジェクトチームが湧き上がり、出版から、翻訳まで十日ほどで終了したと聞きました。今後、海外普及に大きな役割を果たすのではないでしょうか。と言いましても、海外普及に関しては、様々なスタンスの方がおられます。先生は、海外普及に関してどのような考えをお持ちですか。

谷川 それぞれの立場で、自分たちができることをするということだと思います。私自身、海外で対局を多くしてきましたが、行ったところでは、将棋への関心が強くなってきます。また、連盟では三年に一度国際フェスティバルを開催しています。
 個人では、YouTubeの動画があれほど多く作られているのに驚きました。初歩の部分のアクセス数が非常に多いですね。

松岡 動画を作られたのは、静岡にお住まいの方です。昨年、ISPSの会員となられました。お蔭様で、多くの人材が次々と新たな会員になられています。ISPSの組織化を進め、力を結集していければと思っています。

谷川 色々な方が、それぞれの立場で、というのが発展の原動力となると思います。パリに本間六段を派遣できたことも連盟として大きかったのではないかと思っています。

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松岡 話題をかえますが、本年度、棋士会の会長に就任されました。不勉強で申し訳ないのですが、棋士会というのは、連盟の中でどのような位置づけなのでしょうか。

谷川 今までは、男性棋士と、女流棋士とは別の組織のものという感覚で捉えられていた傾向があります。これからは、一緒のものとして行こうというものです。当然、対局などは違いますが、普及などに関しては一つの組織として行動していきます。子供さんへの普及の面では、女流棋士の方がいい場合が多いですしね。棋士会主催のイベントなども開催しましたが、4月に始まったばかりで、まだ、きちんとした形にはなっていません。ただ女流棋士と男性棋士が同じ場で意見を出し合うという機会は今までありませんでしたので、問題解決に一つのきっかけを与えるものだと思います。互いに協力していくのは大切なことでしょう。

松岡 女流棋士の存在には、四段制度との関係があって、難しい問題を抱えているのではないかと思いますが。

谷川 厳しい三段リーグを抜けて初めて四段になるわけです。その意味では、男性・女性両方平等に門戸は開かれています。ゴルフなどでも、プロは何千人もいるのですが、実際、トーナメントプロとして生活している人はあまりいない。どちらの組織がいいのかは分かりませんが、これから模索していくと言うことでしょうか。

松岡 棋士としての生活保障は、子供達に、特に親御さんにとって、非常に魅力あるものです。将棋普及に欠かせない要素だと思っています。また、棋士に対する高潔なイメージは、将棋を教育に生かそうとするものにとって、欠かせない要素でもあるのです。このイメージを定着されたのは、谷川先生の功績の一つだと思っているのですが。

谷川 自分のことはさておき、将棋と教育という面ですと、現在は、東大はじめ、一流の大学を卒業した棋士が増えてきています。私たちの頃には考えられませんでした。将棋によって思考力であるとか記憶力であるとか、決断力・集中力、色々な力が身に付いたということでしょうか。

松岡 将棋に向かう態度は、同時に、学業などに向かう態度を育てることができるということでしょうか。

谷川 将棋に向かう子供の頃の習慣が、学業の中にも生かされて行ったのではないかと思います。将棋を学ぶことによって、様々な力が身についてくると思うのですが、少なくとも、このような力を一つでも身につけておけば、壁に突きあたった時、突破する力となって行くと思います。

松岡 指し将棋とは別に、谷川先生には、詰将棋の世界でも実力者として知られています。詰将棋を海外普及という視点で、見て行くことはできないでしょうか。

谷川 詰将棋というのは、簡単なものは将棋の上達の上で大切なものですが、詰将棋には芸術的なものがありまして、しかも、図面と解答だけがあれば、解説はあまりいりませんから、日本語が読めなくても分かると言う面があると思います。

松岡
 普及の一方の力となる可能性を秘めていると。

谷川     インターネットのYouTubeに「煙詰」なども入っていましたが、あまりアクセス数が多くなかったのは残念でした。ルールを知り、詰める手法を知った外国の方が「煙詰」などを見たら、皆さんきっとびっくりされると思います。あの「煙詰」が、江戸時代に創られた物だという点も、驚きを与えられると思います。

松岡 今後も詰将棋に関わっていくのでしょうか。

谷川 本業に差しさわりのない程度に、関わって行きたいと思っています。江戸時代に、時の名人が献上百番を残しましたので、私も、そのようなものを残したいと思っています。かなりの長編になりますので、あまり一般向けにならないのですが。

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松岡 将棋とインターネットとの関係はいかがでしょうか。

谷川 インターネットの発達の関係で、公式戦を含め、多くの棋譜をリアルタイムで見ることができるようになりましたので、海外で突然に強い人が現われるということが考えられますし、自分では指さないけれど、凄く将棋に詳しい外国人が出てくる可能性はありますね。観戦の好きな方が増えてくれば、私は誰々のファンだという外国の方が多く現われる可能性があります。
 ただ、やはり将棋の楽しさというのは、人と人との交流にあるのです。しかも、将棋は言葉が通じなくとも交流ができるわけですね。将棋連盟としても、昨年の国際フェスティバルのようなものを開いて、将棋の楽しさ、交流する楽しさをそれぞれの国に持ち帰ってもらうことを願っています。ISPSとしても、人的な関係を多く作っていただいて、将棋の楽しさを、一人でも多くの方に伝えていただければと思います。

松岡 三年程前のことですが、100チームほど参加した神奈川県の小中学生の大会に、ウクライナの子供の1チームが参加したことがあります。ウクライナの子供だけでなく、日本の子供たちが本当に嬉しそうな顔をしていたことを思い出します。

谷川 きっと、子供の頃に外国を経験すると言うことは、大きなことだと思います。1990年の竜王戦でフランクフルトにいったのですが、私にとって初めての外国でした。非常に強く印象に残っていますね。

松岡 最後になりました。個人としてどうしても聞きたい事があるのです。先生にとって羽生世代というのは、どのように映っているのでしょうか。大豪の中原先生をやっと破った時、ふと後ろを振り返ると、様々な得物を持った精鋭たちが集団で襲いかかって来た。そんなイメージを持っているのではないかと、勝手に想像しているのですが。

谷川 そのようなイメージは全く持っていません。集団が生まれる切っ掛けを与えたのは私だとも言えますし、優秀な人材が集まることで、その世界が繁栄するわけですから。

 数々の伝説に囲まれている谷川浩司十七世永世名人。様々な内容に言及されましたが、一貫していたのは『将棋と人間』の関わりでした。
 棋士は、「研究者であり、芸術家であり、勝負師である」と。それぞれの大きさとバランスが重要であると。おそらくは、自分自身に言い聞かせるものであると思うのですが、棋士がそうであることを願っている部分も含んでいるのでしょう。この言葉に、ふと、中島敦の小説『悟浄出世』の一文が浮かんできました。「何故、妖怪は妖怪であって、人間ではないか? 彼らは、自己の属性の一つだけを、極度に、他との均衡を絶して、醜い迄に、非人間的な迄に、発達させた不具者だからである」。
 もともと将棋は勝負を争うもの。その属性のみに邁進することを諌め、人間としてのバランスには、研究者・芸術家の要素が是が非でも必要なのだと言われたような気がしています。おそらく、心理学者の河合隼雄氏もこれを絶賛されたのでしょう。谷川先生の『内なる芸術性』は、二人で創り上げる「将棋の世界」を超え、己の世界、「詰将棋」に誘うのかもしれません。
 国内にしても海外にしても、将棋を普及する活動の内に、人間同士の繋がりや人間と将棋との繋がりに思いを馳せていることが、言葉の端々から感じ取れました。きっと、谷川先生にとって、将棋は自身の陶冶の道であり、人間陶冶の良きパートナーとして映っているのではないでしょうか。これを世界に広めることを、ISPSに託されたとの思いを強くしています。
 インタビューが終わりふと浮かんだ言葉は「八面玲瓏」。道服と白羽扇が最もよく似合う方だと思うのは、決して私だけではないでしょう。
 運営の雑事に惑うことなく、将棋の道を歩まれることを願って止みません。

ISPSインフォメーション(48号、2009年11月22日発行)

* 会員 アンケート結果
 前号、『かけはし』47号で、会員の方々へアンケート求めたところ、大変多くの方々から回答をいただくことができました。集計の一端を掲載し、報告いたします。
 尚、回答数は57でした。

                                                                                                                                                       
 

地域に関すること

 
 

 

 
 

言語に関すること

 
 

 

 
 

言語活用の程度

 
 

 

 
 

言語活用の意欲

 
 

 

 
 

1北海道

 
 

1

 
 

1英語

 
 

30

 
 

5非常に

 
 

5

 
 

A大変に

 
 

21

 
 

2東北

 
 

0

 
 

2中国語

 
 

5

 
 

4良く

 
 

12

 
 

Bまあまあ

 
 

17

 
 

3関東甲信越

 
 

48

 
 

3フランス語

 
 

6

 
 

3普通

 
 

15

 
 

Cあまり

 
 

16

 
 

4中部北陸

 
 

2

 
 

4スペイン語

 
 

5

 
 

2少し

 
 

15

 
 

 

 
 

 

 
 

5関西

 
 

5

 
 

5ロシア語

 
 

2

 
 

1ほとんど

 
 

7

 
 

 

 
 

 

 
 

中国四国

 
 

0

 
 

6ドイツ語

 
 

4

 
 

 

 
 

 

 
 

 

 
 

 

 
 

7九州

 
 

0

 
 

7ポルトガル語

 
 

0

 
 

 

 
 

 

 
 

 

 
 

 

 
 

8外国

 
 

1

 
 

8エスペラント語

 
 

3

 
 

 

 
 

 

 
 

 

 
 

 

 
 

9その他

 
 

0

 
 

 

 

 

 元々、ISPSの会員には、関東地方の方が多く、次いで関西の方が多いことから、回答全体は、ISPSの人員構成の実態を示していると考えてよいと思われます。言語に関しては、会員の多くの方が、一般の集団に比べ、非常に語学が堪能である方が多く、使用の意欲も高いことが分かります。表全体は、複数回答を可としていますので、言語に関しては四カ国の言葉に触れられた方も、また、無答の方もいました。全体としては、英語を使用される方が多いのですが、使用可能な言語は多方面に亘り、世界人口のほとんどをカバーできる可能性を示しています。あと、ポルトガル語ができる人が何人か入ってくれると、言語の種類としては、世界中に発信できる体制を整えることも可能かと思われます。また、エスペラント語に非常に堪能な方もおられることに驚きました。

 語学の能力ですが、自己申告ですので、非常に答えにくかったのではなかったかと思います。申し訳ありませんでした。ですが、お蔭様で、全体としては実態を捉えることができたのではないかと思われます。

 全体を通しますと、語学に堪能な方が会員には相当沢山おられることが分かりました。知人の答えから判断しますと、私からは、ほぼ完璧に話すことができると思われる方でも、4と答えられたり、3と答えられたりしています。おそらくは多くの方が相当な高いレベルで自己の能力を判断されていることからの結果ではないでしょうか。言語活用の意欲が、言語活用の程度を遥かに上回っていることからも伺えます。ISPSが、海外に多くの発信を意図する中、非常に頼もしい結果が得られました。

 次の表には、インターネットに関することと、地域活動に関することを載せてあります。こちらはそれぞれ母数が異なり、個々の人数では判りづらくなりますので、%で表示しました。

                                                                                                           
 

インターネットに関すること

 
 

 

 
 

意欲

 
 

 

 
 

 

 
 

地域の活動に関すること

 
 

 

 
 

意欲

 
 

 

 
 

大変良くできる

 
 

9.6

 
 

A大変に

 
 

16.2

 
 

 

 
 

大変意欲がある

 
 

9.1

 
 

A大変に

 
 

11.8

 
 

良く

 
 

10.6

 
 

Bまあまあ

 
 

29.4

 
 

 

 
 

意欲がある

 
 

6.1

 
 

Bまあまあ

 
 

44.1

 
 

普通程度

 
 

21.2

 
 

Cあまり

 
 

54.4

 
 

 

 
 

普通程度

 
 

36.4

 
 

Cあまり

 
 

44.1

 
 

少し

 
 

16.3

 
 

 

 
 

 

 
 

 

 
 

少し

 
 

36.4

 
 

 

 
 

 

 
 

ほとんど

 
 

42.3

 
 

 

 
 

 

 
 

 

 
 

ほとんど

 
 

12.1

 
 

 

 
 

 

 

 インターネットに関しては、語学に比べ、技術力も意欲も著しく低下しています。ですが、会員の2割程度の方は、相当なレベルを有していることが分かりましたので、もし、力が結集されるならば、現在の数倍から十数倍の発信能力を発揮できるのではないかと思われます。

 地域活動に関する面は、全体的には割合が低いものの、地域でのISPSとしての普及活動をしたいと思っている方が、15%ほどおられることが分かります。おそらくは、普及活動については様々なイメージがあることでしょうから、色々お聞きしながら、ISPSの活動方針と重ねて行きたいと思います。

 実は、アンケートを出すに当たり、どれほどの回答が得られるかは非常に不安でした。20通を下回った場合の対応法に思い悩んでいたのです。ところが、蓋をあけてみると会員の1/3にも達する回答が寄せられ、反響の大きさに驚いています。いかに多くの会員の方々が、ISPSの活動に関心を持たれ、意見の発信、自分の能力の活用を念じられているかが、ひしひしと伝わって来ました。葉書に、通信欄を設けましたが、空欄は、僅かに4通のみです。今まで、様々なところでアンケート調査を行って来ましたが、全く前例のないことでした。どれほど皆様の熱意に答え得るかわかりませんが、チームや組織の構築などを通して、各国語の翻訳、様々な情報の収集や発信、関係諸国との人的な交流などを推進していければと思っています。尚、まだアンケートの返信葉書をお持ちの方がおられましたら、年内は受け付けますので、松岡宛にお送り下さい。お待ちしています。

* 王座戦 英語による初のタイトル戦ネット中継が実現! 当会の寺尾理事が英訳を担当

 日本将棋連盟の「ネット委員会」?という委員会(渡辺竜王、片上六段、遠山四段、などの若手棋士、将棋倶楽部24の久米さん、将棋連盟のインターネットに強い職員で構成)が、今回の王座戦より「自宅解説者制度」(タイトル戦のネット中継時に、プロ棋士が現地に行かずに、自宅で指し手をネットで見てその解説をする仕組み)が導入されたのに派生して、片上六段から寺尾理事に「英語の中継をやってみませんか」という電話があり、実験的に行ったものです。英訳は、日本語の中継画面のコメントから手の解説の部分のほとんどを寺尾理事が英訳しました。

 片上六段とは、中国語で同様なことをする可能性についても話しており、日本語から中国語にする人が居れば、原則的にできないことはないという答えをもらっています。現状、日本以外で最も将棋人口が桁違いに多いのは中国。本来このようなことは中国語が先に行われるべきだったかもしれません。本件については、ネット委員である片上六段、遠山四段が既にブログを書かれているので参考にして欲しいと思います。    http://chama258.seesaa.net/article/127586348.html

 尚、寺尾理事は本年度の竜王戦第一局の英語解説も行っています。

* ISPS記念行事に向けての準備開始

 来年、2010年は、ISPSがNPO法人として認証されてから、10年。発足から15年。区切りの年に当たります。現在、理事会では、2010年の10月9日(土)に記念行事を開催することを決定し、記念行事の規模・内容・人選・会場等の検討に入り、着々と準備を進めています。来年3月の総会には、概要が示されることになりますので、総会に多くの方々の参加をお願いします。多くのご意見をいただき、素晴らしい行事としたいと思います。

 また、この『かけはし』も来年中には、50号の発行を迎えます。50号は記念行事にあわせ、「記念号」として発行する方向で検討に入りました。記念号にふさわしい資料・写真・エピソードなどをお持ちの方は、事務局までご連絡下さい。

世界の将棋情報アラカルト(48号、2009年11月22日発行)

* アジア国際学生将棋交流会企画(Asian Intercultural Shogi Exchange Program) 実施される
 去る7月27日から7月30日に亘り、東京都内において標記の会が実施された。参加者、北京大学生4名、マレーシア人1 名、日本人2 名の計7名と、運営スタッフ8名の合計15名で活動。スタッフは笠井友貴(本企画代表、東京大学4年)、牧野満理瑛(東京大学修士2年)、中村太地(早稲田大学3年、プロ棋士)、澤田萌(東京大学修士1年)、細川陽(中央大学4年)、鈴木渉(早稲田大学1年)、丸山敏司(早稲田大学1年)、刀禰亮哉(麻布高校1年)。

 過去二回に渡り、「議論によって交流を図る」というコンセプトの下で執り行われてきましたが、「コンセプトがわかりづらい、対局も含めてはどうか」との話しが各所からあり、今回はシャンチー(中国将棋)と日本将棋に焦点を当てて各将棋の歴史、文化的背景を掘り下げるばかりでなく、対局をすることでより密な交流を図った。4日間の中で、①将棋連盟を訪問しプロ棋士の公式戦を見学。将棋の中に息づく日本の文化や美意識を感じる。②羽生善治名人、米長邦雄将棋連盟会長、所司和晴七段を招き話し合いを持つと同時に、羽生名人との交流セッションを行い、将棋関係者だけでなく一般の学生たちにも広く募り、東京大学で約40 名が羽生名人との交流をおこなった。③参加者で日本将棋と中国将棋の「歴史・文化・教育・社会」的背景に関する議論を積み重ね、羽生名人が「中国将棋を参考にして日本将棋の普及に際しての提案」という形で提言。リアルタイムウェブ中継した所、アクセス数は1000 以上になった。また、ネットだけでなく、NHK の「囲碁・将棋ジャーナル」での放映や、東京大学新聞の一面、週刊将棋での特集、長崎新聞などに掲載され、成果が伝えられた。(『企画概要』より抜粋して要約)

*米国十代の若者 "The 81 Square Universe“ 立ち上げる
 当会会員の HIDETCHI さんが次々と英語で将棋のビデオを作ってYouTube に発表しているのを既にメールマガジンや、「かけはし」でお伝えしているので、ご存知の方が多いと思います。HIDETCHIさんのビデオを見て将棋を覚えた、また、好きになったという米国の十代の若者二人が英語の将棋フォーラムを立ち上げました。名前は"The 81 Square Universe" 。「81マスの宇宙」です。夢のある名前ですね。是非ご覧ください。    http://forum.81squareuniverse.com/

* 羽生名人が在日本ベルギー公使と二枚落ちの対局
 当会、山田彰理事のsalamancasouryuの日記で、羽生名人が在日本ベルギー公使と二枚落ちの将棋を公使邸で指された様子などが書かれています。
http://d.hatena.ne.jp/salamancasouryu/20090929/1254235407

「ベルギーの公使は、チェスを教えているピノーさん(本会理事)の紹介で羽生名人と知り合ったようです。ベルギーの公使は、また腕を上げたようで、羽生名人と二枚落で対局したのですが、結果は1勝1敗でした。名人も公使の実力に感心していたようです。二人が将棋を指している横で、外国の招待客に私が将棋の説明をしました」

* fukuharaさんが、Brainkingの将棋トーナメントで優勝
チェコの多言語ゲームサイトのBrainkingのトップページなどの日本語化を完成させたfukuharaさんが初めて将棋のトーナメントで優勝しました。
http://brainking.jp/jp/Tournaments?tri=421533

特別企画 佐藤康光九段(永世棋聖) 独占インタビュー (47号、2009年7月26日発行)

『海外普及への多様なステップ』

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 『かけはし41号』でも報告したように、佐藤康光九段(永世棋聖)には、平成19年6月に行われた「日中少年将棋友好交流会」での全面的な協力など、今まで、ISPSに対し数々のご支援を受けて参りました。今回、佐藤先生を横浜に迎えてのインタビュー。内容を報告します。
 尚、インタビューは、本年5月13日、横浜美術館レストラン ブラッスリー・ティーズ・ミュゼにおいて、当レストランの全面的な協力のもとで行なわれました。(文責 編集部 松岡 信行

 
松岡 お久しぶりです。一昨年の「日中少年将棋友好交流会」では、大変お世話になりました。お忙しい中、横浜までお呼び出ししまして申し訳ございません。
 先ずは、日中の将棋交流会の印象から、お尋ねしたいと思います。
佐藤 国交回復35周年の時でしたね。46名。先ずは大変多くの方々が中国から来られたのには驚きました。
松岡 以前は、ISPSが招待したのですが、一昨年の場合は、中国側の負担で来日してくれました。

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佐藤 6人相手に指しましたが、抽選で選ばれたのでしたね。特に強い子だけというわけではなかったのですが、楽しみながらも、結構しっかりとした手を指していたのが印象に残っています。
松岡 少年たちの一人が、今年、奨励会試験を受けにくると聞いています。
佐藤 上海からは何回目かのチャレンジかと思いますが、頑張って合格して欲しいですね。
松岡 現在、上海には60万人の将棋人口があるそうですよ。
佐藤 60万人ですか。少し前には15万人と聞いていましたが。将棋の魅力もあるのでしょう。素晴らしい伸びですね。
 95年に、第八期竜王戦で、北京で羽生さんと戦いましたが、当時は確か、中国で大人と子供32人ずつの大会が初めて開かれたのだと思います。中国は、許建東さんをはじめ、しっかりとした指導者もおられるので、ありがたいことです。
松岡 先生も魅力に取り付かれた一人だと思いますが、将棋を始めたのはいつ頃ですか。
佐藤 小学校1年の頃です。友達が学校に持ってきて、興味を持ちました。しかし、随分と強くなるのが遅く、3年間で4級までしか行きませんでした。プロ棋士には、2・3年で二段三段になる人が多いですから、アマチュア時代が長かったと言えますね。中学1年で奨励会に入りました。
松岡 奨励会に入った時、どんな気持ちでしたか?
佐藤 実は、どうしてもプロを目指すという気持ちは薄かったですね。強い人と指せるのが楽しいという感じでした。しかし、奨励会は道場とは空気の張り詰め方が違いました。この緊迫感がたまらなく、入会してまもなく、この世界でやって行きたいという気持ちになりました。
松岡 佐藤先生の持つ記録として、今後、絶対に破られないだろうという記録がありますね。奨励会を抜ける時、二段から四段になるまでに、21勝1敗。実に、勝率9割5分5厘です。驚異的ですね。
佐藤 初段が永かったんです。1年半かかっていますから。初段のころの蓄積が開花したのではないかと思います。高校2年の3月に四段になり、すぐ順位戦に参加できたことが、今思うと大きかったですね。
松岡 少々、不満かも知れませんが、俗に、羽生世代と言われます。森内永世名人・丸山元名人・藤井元竜王・今、名人戦を戦っている郷田九段。他にもまだまだ強豪が打ち揃っているときの成績ですから正に驚異的。そもそもどうして、同年代にこれほどの人材が集まったのでしょうね。
佐藤 奨励会の受験者も多かったのです。また、若い時は同世代の人の成績が気になりますから、お互いに良い影響を受け続けたのではないでしょうか。
松岡 今はコンピュータの発達で、誰でも研究が可能ですので、皆、すぐに強くなってきます。この現象について、羽生先生は、「高速道路の後の大渋滞」という表現を使われていましたが、ある対談で、佐藤先生は、渋滞後の「けものみち」という表現をされてもいます。
佐藤 言葉は、私が最初ではないのですが、最近は、どちらかというと、早く高速道路を降りて「けものみち」を進んで行く将棋も指してきました。40代になったらどうしようかと、今、考えています。
松岡 私には、羽生先生と佐藤先生は将棋も性格も随分と違うように見えるのですが、また、非常に似ているようにも思えるのです。棋士の個性についてはどう思われますか。
佐藤 基本的には随分と違いますよ。ただ、同じ勝負の道に入っているわけですから、先ず、負けず嫌いであるとか探究心が強いとかなどの共通基盤があるわけです。その上、将棋は極めて透明性が高いゲームですから、「正しく指す」ことが、互いに絶えず求められる。透明性が、共通な性格を造っている可能があります。
松岡 それでも将棋に違いが出てくるのはどうしてでしょうか。
佐藤 おそらくは、局面の見方だと思います。私でも10年前、5年前、3年前と現在、それぞれ違っていますから。
 将棋は積み重ねですが、一つ一つを積み重ねると、不思議と変わることがあります。
松岡 羽生先生の将棋には、安定感が、佐藤先生の将棋には、升田先生のような鋭く切込んでいくイメージを多くの人が持っているのではないかと思うのですが。
佐藤 それは、イメージの問題だと思います。実際はそうでもありません。誰でも、プロの習性として、確率の高いほうを選んでいる傾向があります。ただ、私の場合、オリジナリティの高いものを選んで行きたいという願望は、昔も今も高いとは言えます。
松岡 2006年に升田幸三賞を受賞していますね。
佐藤 受賞は嬉しかったですね。自分の個性が認められるということでしたから。

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松岡 先ほど、北京での対局の話をお伺いしました。随分と海外に行かれていますね。
佐藤 広めに行く、教えに行くというのではありませんが、対局などを含め、海外に行く機会は多かったです。若手の頃、香港を経由してフランス、オランダ、イギリスなどによく旅行しました。その頃知り合ったオースチンさんなども昨年の国際将棋フェスティバルに参加されています。ヨーロッパが中心ですが、海外に知り合いも多くいます。
松岡 昨年、竜王戦の時もパリに行かれました。
佐藤 立会いで行きました。フランス将棋連盟の会長さんをされているオスモンさんが熱心に活動されています。大会参加者は、フランス人で80人くらいいらっしゃるそうです。パリでは、市内のカフェで週に一回将棋会があると聞き、私も指導に行って来ました。そのときは10人くらいいらっしゃいました。オスモンさんが言われるには、文化庁交流使として本間六段が数ヶ月パリに常駐してから、パリの雰囲気も随分と変わったと言っていました。プロが居るか居ないかは大きな違いだと思いますね。
 パリのカフェでは、日本語がとても堪能な方が2人いらっしゃいました。一人は、若い方でしたが、『将棋世界』とか『週刊将棋』の棋譜を並べると同時に、訳しながら記事の解説をするのです。日本の書籍がそのまま理解できる環境になるわけですから、これはすごいですね。
松岡 やはり、一番の問題は、言葉でしょうね。最近、ハワイに行かれたそうですが、ハワイのような、日系の社会を持っているところでは、言葉の問題はないと思いますが。
佐藤 ホノルルには、「アロハ将棋祭り」がありまして、今年の4月に行って来ました。今年で、2回目です。島九段がアドバイザーをされていて、私はゲストではじめて行って来ました。
 4月1日と3日が大会でした。初日の「将棋祭り」の参加者は40人ぐらい。3日は「親子将棋大会」で30人くらい集まっていました。日本人と日系人の方々が中心なのですが、皆さん熱心でしたね。まだ、支部になってから日は浅いのですが、野田支部長さんはじめ、皆さんが大変熱心なことと、強い方が多いのでびっくりしました。「親子将棋大会」の方は、ほとんどが初心者でしたが、「将棋祭り」の出場者は、ほとんど、初段以上でした。永く駐在している人も多く、また、海外では珍しいのですが、普及指導員の資格を取られた方も何人かおられました。非常に環境が整っている印象を強くしています。
松岡 現地の人も巻き込んで発展していくといいですね。
佐藤 潜在的に日系人の方が多く、また、現地の方との交流も盛んなので、今後、大いに期待できます。
松岡 その他、海外で印象に残ったことはなんでしょうか。
佐藤 私がプロのなってから色々とお世話になっていて、現在は上海の支部長をされている西堀さんという方がいらっしゃいます。
松岡 西堀さんは、中国にお住まいなのですか。
佐藤 そうです。最初にお会いした時は香港の支部長をされていて、その後、台北、上海と転勤されてからも、日本人や現地の方を集め、支部を立ち上げて下さいました。ご自身も将棋が強くていらっしゃいますが、こういうしっかりと取りまとめをして下さる方が海外に沢山おられると、心強く思いますね。
松岡 将棋を世界に広めるという視点では、どのような点が問題となると思われますか。
佐藤 まずは言葉でしょうか。パリのカフェのような形が理想ですが、難しいでしょう。翻訳された棋書の数もまだ十分とは言えません。今回、家にあった英語とフランス語とエスペラント語で書かれた将棋の本を持って来ました。どれも大変な力作揃いです。しかし、中にはルールを覚えた次の内容としては、難しいものもありました。日本の本でも言えることですが、上達にはどのようなステップを踏めばよいかという研究が必要なのかもしれません。
松岡 エスペラント語の解説書ですか。初めて見ました。世界エスペラント協会将棋 専門代表の方が書かれているのですね。世界に広めようとする意欲が伝わってきます。意欲が空回りしないためにステップが大切ということですね。

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佐藤 最近、動画で入門書が作られていて、インターネットに配信され始めているそうですね。大きな力となりそうです。
松岡 HIDECHIさんですね。大変よくできています。ステップという意味では、一つの指標になるものかと思いますね。
佐藤 将棋連盟が海外普及でやるべきことは山積していますが、少しずつ前進している状態だとは思います。ただ、棋士の人数も限られますし、現地の方にほとんど助けられているのが現状です。
松岡 棋士としては、生活との兼ね合いが生じますしね。
佐藤 棋士の場合は、トーナメント・プロでもありレッスン・プロでもあります。私自身も海外普及に関しては、語学の壁があり、現地に行っての交流くらいしかできないのが残念です。
松岡 ISPSが関わる分野の一つですね。今年は、モンゴルに役員を送る予定になっています。
佐藤 そうですか。中国みたいに、一つの国にたくさんの愛好家がいるというのも素晴らしいですが、多くの国々に将棋の愛好家がいるというのも重要ですね。
松岡 将棋に類した物は、世界中、それぞれの国にありますから、広がる手がかりとなる可能性があります。
佐藤 日本の将棋は優れたゲームだと思っていいますから、浸透して行って欲しいですね。フランスで感じたことは、日本全体の文化的な力です。様々な文化的側面が浸透し、興味を喚起している。その中に将棋もある、といった感じです。
松岡 日本文化というのは、ある種、特殊ですね。文化として魅力を感じている人たちが、世界に広がってきているということですか。
佐藤 将棋もただ単なるゲーム性ということだけではなく、日本文化の一部として浸透していく必要を感じます。
松岡 日本文化の一環としての将棋ですね。
佐藤 愛好家が爆発的に増えるのではなく、趣味として、生きていく上での活力として将棋を親しむ人が一人でも増えてくれればと思います。将棋を支えてはいるのは、決して指す人だけではないと思います。観て楽しむ人もいらっしゃいます。昨年、パリに行ったときも、長い歴史のある日本文化の一つである将棋を、尊敬の念を持って観てくださる方々がいらっしゃいました。大変ありがたいことです。
松岡 ISPSとしての今後の方向性についてはいかがでしょうか。
佐藤 昨年の国際将棋トーナメントでは、ウクライナやベラルーシの選手が活躍していました。ISPSの成果でしょうか。
松岡 ええ、そうです。ロシアを中心に、早くから、スタッフを送っています。
佐藤 大きな成果ですね。基本的には、今まで通りでいいのではないかと思います。中々広めることが難しい地域への普及を図っていただきたいし、世界の情報を把握して頂けるのも、ありがたいことだと思っています。きっと、その国その国に合った広め方があるのではないでしょうか。良く国民性を把握しているのはISPSの強みでしょう。
 将棋ほど、深い透明性を持ったゲームは他にないと思っています。世界中の人々に素晴らしさを味わってもらいたいとの思いは強いですね。普及というのは、一つずつの積み重ねですから、長い間、活動を続けられているということは、どれほど素晴らしいことか。今後も、着実に進まれるよう期待しています。
松岡 どうも長い時間有難うございました。とても素晴らしい時間を持つことができました。今後の更なるご活躍をお祈りいたします。

インタビューを終えて

 大阪での対局を終えられ、帰宅途中に横浜に立ち寄って頂きました。ついつい話しが弾み、気が付くと2時間が過ぎていました。
 佐藤先生の持つ将棋の本質に対する鋭く深い卓見と、将棋を世界に普及する上での確かな目に圧倒されました。
 才能の開花に個人差があること。個性と共通性の成り立ち、人間の持つ場面把握の進化性。
 普及においては、個人の重要性。組織の重要性。国それぞれの普及方法の違い。日本文化全体を伝える一環としての将棋の存在。インターネットの発展性。観客の意味。人的交流の大事さ。言葉の価値。文化の伝播には、『多様な方法とステップ』があることを、余すところなく語ってくれました。
 ことに印象に残った言葉が2つ。『一つ一つの積み重ね』と『将棋の透明性』です。
 『積み重ね』は、二箇所で使われました。
 一つは、将棋に対してです。正に天才の名を欲しいままにしている佐藤先生。人に比べ、容易に難関を突破して来たのではないかと思っていたのですが、その裏には、血のにじむような『積み重ね』があることを示されました。同じ言葉を、今までのISPSの仕事の成果にも用いてくださったことに、深く感動しています。
 『将棋の透明性』。素人の私には、将棋の世界は泥沼のような、不透明なものとしての感覚しかありません。どこに雷魚やワニガメが潜んでいるかと、戦々恐々として指し進めていくのですが、佐藤先生の目からは、透明な水底を見るように将棋の世界が見えているのだと知りました。
 淡々とした口調で語られる佐藤先生の口から漏れる「深い透明性」という言葉は、例えば『透明な人類の巨大な足跡』のように、崇高なものに対してのみ「透明」と言う言葉を用いた宮沢賢治と、一脈通じるものがあることを感じ、尊敬の念を深くしています。
 インタビューの全体は、まるで隈なく配置された盤面を見るかのよう。佐藤先生の周到な準備と、将棋そのものや、普及に関する見識がまばゆいほど的確に配置されていることに驚くとともに、一層の親しみや尊敬を感じつつ、ゴージャスなブラッスリー・ティーズ・ミュゼを後にしました。

 編集の途中に、佐藤康光先生から素晴らしい知らせが届けられました。
『6月6日に無事生まれました。女の子です。結婚5年目でしたが、新たな感動がありました。』
 幸せそうな笑顔が目に浮かびます。

 

ISPSインフォメーション(47号、2009年7月26日発行)

*夏に企画していた中国の北京、上海からの学童訪日交流イベントの中止
 たいへん残念ながら、WHOが新型インフルエンザの警戒水準を「5」から「6」へ引き上げたのを受け、中国の教育当局が夏休みまでの学童の外国旅行を禁止する姿勢に転じたため、やむを得ず中止にせざるを得なくなりました。新型インフルエンザの流行は不可抗力とはいえ、関係各位にはご迷惑をかけた面もあり、その点、お詫びをいたします。

*HIDETCHI さんが会員になりました
 入門をはじめとして100本以上の英語による将棋ビデオをYouTube に発表している HIDETCHI さんが当会の会員になってくれました。HIDETCHI さんのビデオをどんどん外国の方に紹介して、多くの方に将棋を広げていきましょう。


*ポーランドの将棋普及家に100円駒を4個送付

 ポーランド語による将棋ホームページおよびフォーラム開設、HIDETCHI さんのビデオのポーランド字幕の作成など同地で精力的に将棋を広めてくれている Adrian さんに、100円駒を4個、郵便事情を確かめる意味も兼ねて寄贈しました。無事についたとのお礼のメッセージが届きました。関税もかからなかったようなので、更に追加で10個ほど100円駒を送付します。

*グリンベルゲンさんの第19回世界コンピュータ選手権のレポート
 オランダ出身で会員のライエル・グリンベルゲンさんが、第19回の世界コンピュータ選手権のレポートを英語で発表されました。自身の対戦についてだけでなく、コンピュータ将棋の世界では、floodgateと呼ばれるコンピュータ同士の手合いを自動的につける環境が昨年にできたことと、今年の1月にコンピュータ将棋ソフトのボナンザがソースコードを公開して、少しプログラミングの知識がある人なら誰でも強いコンピュータソフトを作れるようになったことのインパクトが将棋プログラムが強くなるのに相当あったことが窺われる内容になっています。

*「かけはし」メールマガジンを開始します
 このところ、海外の将棋のニュースが多くなってきました。また、HIDETCHI さんのビデオなど、インターネット上の有用な情報へのリンクを「かけはし」に従来印刷をしてきましたが、会員の皆様から「URLを全部正確にタイプしないといけないので、情報へたどりつきにくい」との声をいただいています。そこで、原則的に月刊で、メールマガジンを発行することにいたしました。メールマガジンなら、受け取ったメールのリンクをクリックするか、コピーペーストするだけで情報の載ったページを開くことができますので、大変便利です。
 メールマガジンを受け取る方法ですが、「まぐまぐ!」というサイトで読者登録をしてください。登録をすると、原則月に1回、メールマガジンが登録したメールアドレスに送られてきます。号外を必要に応じて随時発行していく予定です。
(登録の仕方)
(1) インターネットで「まぐまぐ!」の「かけはし」メールマガジン(将棋を世界に広める会)のサイトに行ってください。
アドレスはhttp://archive.mag2.com/0000293419/index.htmlです。(将棋を世界に広める会のトップページからもリンクしています)
(2) メールマガジンを受け取るメールアドレスを「登録」ボタンの左側の欄に入れて、「登録」ボタンを押してください。
(3) ご自分のメールに「まぐまぐ!」から「メールマガジン読者登録認証のお願い」というメールが届きます。そのメールが来てから5日以内に、そのメールにある認証用のURL(リンク)をクリックしてください。これで、登録が完了し、「読者登録完了のお知らせ」が届きます。あとはメールマガジンが届くのを待つだけです。お手数ですがよろしくお願いします。

* 会員の川北亮司さんが『SHOGI Kids』(将棋キッズ)を刊行しました
 童話作家として著名であり、本会会員でもある川北亮司さんが、日本で初めて将棋を題材とした童話を、この4月、そうえん社より刊行しました。小学校高学年から中学生が対象ですが、大人も十分に楽しめるものです。お子様に将棋を薦めたいとお考えの方、子供達に将棋への関心を高めたいとお思いの方、是非、本を手にしてみてください。シリーズもので、8月には第2巻が刊行される予定です。

* 会員の福原さんが brainking.com の日本語化を完成させました。
 将棋と5x5将棋ができる多言語ゲームサイトの brainking.com の日本語化を会員の福原さんが完成しました。もともとチェコ語をはじめとした多言語サイトで、海外の方が多く登録して様々なゲームを楽しんでいるところでしたが、これで、英語が得意でない日本人でも、海外の方と気軽に将棋と5x5将棋を同サイトで楽しむことができるようになりました。サイトのアドレスは http://brainking.jp/です。 ( 寺尾 学)

特別寄稿 将棋を広めるための環境について(46号、2009年2月28日発行)

1.将棋の普及 46hyoshi_2

 将棋の競技人口は、チェス、中国象棋シャンチーに次いで世界第三位です。以下、韓国・朝鮮のチャンギ、タイのマックルックと続き、最近はこれを世界五大 将棋などとも呼ばれるようになってきました。チェスは、世界中の様々な民族の間で知られ好まれています。しかし中国象棋は、世界中で愛好家がいるものの実 態は華僑であり、華僑以外の愛好家は1割に満たないといった状況です。将棋についても、現状では程度の差はあっても、同じようなことが言えるのではないで しょうか。(岡野伸氏)

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